大豆イソフラボンの種類
大豆イソフラボンは大きく分けて2種類ある
一言で大豆イソフラボンといっても、「イソフラボン」という1つの成分があるわけではありません。
分子構造によって大きく分けると、以下の2種類のイソフラボンが存在します。
(1)分子に糖が結合していないアグリコン型(非配糖体)
(2)糖が結合しているグリコシド型(配糖体)
さらに、配糖体に結合している分子により3種類に分けられ、細かく分けると15種類にもなります。
ただし、一般に大豆イソフラボンとして議論されるのは、もっぱらアグリコン型とグリコシド型の2種類です。
そのため、この記事ではアグリコン型とグリコシド型の2種類を取り上げて説明をしています。
アグリコン型とグリコシド型の性質の違い
アグリコン型とグリコシド型の大きな違いは、糖の結合の有無です。
アグリコン型は糖が結合していないため分子構造が小さく、その分小腸からの吸収が早い性質があります。
一方、グリコシド型は糖が結合しているため分子構造が大きく、そのままでは腸壁の穴を通過できず、しかもこの糖は人間の消化酵素では分解できません。
しかし、腸内細菌はこの糖を分解できるため、分解されたものから体内へ吸収されます。
ただし、分解しきれない分は、吸収されずにそのまま体外に排泄されます。
アグリコン型とグリコシド型では吸収率が3倍も異なり、アグリコン型は2時間くらいで吸収のピークを迎えます。
大豆や豆腐などに含まれているイソフラボンはグリコシド型が多く、味噌や醤油など細菌による発酵を受けた大豆加工品に含まれるイソフラボンはアグリコン型が多いです。(注:納豆はグリコシド型)
アグリコン型のイソフラボン
アグリコン型のイソフラボンはその分子構造によって
(1)ゲニステイン
(2)ダイゼイン
(3)グリシテイン
の3種類に大別され、それぞれ性質が異なります。
イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンの代用として働く「エストロゲン様作用」と、体内に増えすぎた活性酸素(※1)を除去する「抗酸化作用」があります。
この代表的な2つの作用は、イソフラボンの種類によって活性(作用の強弱)に違いがあります。
アグリコン型のイソフラボンは、体への抗酸化作用が強いのも特徴です。
(※1)活性酸素とは、体内に増えすぎると正常な細胞を酸化して、機能を低下させてしまう悪性の酸素です。
→イソフラボンのエストロゲン様作用についてはこちら
→イソフラボンの抗酸化作用についてはこちら
ゲニステイン
ゲニステインは、アグリコン型の3種類の中で最も吸収率が高く、尚且つエストロゲン様作用が最も強い特徴があります。
また、シミの原因となるメラニン色素を作る際に必要な、酵素のチロシナーゼの作用を阻害する作用があります。
ダイゼイン
ダイゼインは、ゲニステインに比べるとエストロゲン様作用が弱いのが特徴です。
しかし、ダイゼインは腸内細菌で代謝されて、「エクオール」という物質になると、ゲニステインよりもエストロゲン様作用が強まります。
ただし、エクオールを作れる腸内細菌を持つ人は、日本人の30~50%なので、必ずしも全ての人がダイゼインをエクオールに代謝できるわけではありません。
グリシテイン
大豆製品に含まれる全イソフラボンのうち、5~10%を占めるのがアグリコン型のグリシテインです。
グリシテインもエストロゲン様作用がありますが、ゲニステインやダイゼインに比べると活性が弱いです。
グリコシド型のイソフラボン
グリコシド型のイソフラボンにも、アグリコン型と対応するように、その分子構造によって
(1)ゲニスチン
(2)ダイジン
(3)グリシチン
の3種類に分類されます。
それぞれ糖が結合している状態なので、腸内細菌によって糖が分離されれば、体内でゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインとして吸収されます。そして体内でエストロゲン様作用や抗酸化作用を発揮してくれます。
しかし、腸内細菌で全ての糖が分離されるわけではないので、分解されなかったものは吸収されず、糞便とともに排泄されます。
一般的にグリコシド型の吸収率は約2割と言われていて、その人の腸内環境にも左右されます。
腸内環境が悪く、腸内細菌の働きが活発でない人の場合、グリコシド型をアグリコン型として吸収できる量は減ってしまいます。
大豆や大豆加工品に含まれるイソフラボンのほとんどがグリコシド型ですので、吸収率を良くしてイソフラボンの効果を得るためには、腸内環境を整えることが大切です。