イソフラボンで前立腺肥大症予防
イソフラボンは前立腺肥大症を予防する
女性の更年期障害の諸症状の緩和に効果があり、ホルモンバランスを整えるイソフラボンは、男性の前立腺肥大症の予防にも効果を発揮します。
男性は年を取るごとに、尿の出が悪くなる前立腺肥大症に悩まされる人が多くなり、俗に男性の更年期障害とも呼ばれています。
イソフラボンが前立腺肥大症の予防にどのように関与するのか、詳しくお話します。
前立腺肥大症とは
前立腺肥大症とは、尿道を囲む前立腺と呼ばれる組織が細胞分裂で増大し、尿道が狭くなることで尿の排出に支障が出る症状です。
日本人の場合、前立腺肥大症は50歳くらいから増え始め、80歳では実に80%の男性が前立腺肥大症になるといわれています。
前立腺肥大症の原因
前立腺肥大症は、加齢で男性ホルモンのテストステロンの生産が低下すると発症します。
主に精巣で生産されるテストステロンは、男性の場合は細胞分裂に関与しています。加齢で生産量が低下すると、それを補うため、代わりにテストステロンより強力に働くジヒドロテストステロン(以下:DHT)が体内で生産されます。
ジヒドロテストステロンはテストステロンの150~300%もの活性があると言われ、わずかな量で生産が不足したテストステロンの作用を補います。しかし、ジヒドロテストステロンが前立腺の細胞にある受容体に結合すると(※1)、その活性の強さで細胞分裂が活発化し、前立腺が肥大化してしまいます。
(※1)ホルモンは分泌された後、細胞内の受容体と結合することで働きます。
ジヒドロテストステロンの生産には酵素が必要
テストステロンからジヒドロテストステロンを生産するには、「5αリダクターゼ」という酵素が必要です。この酵素は精嚢や前立腺、毛根に存在し、体内のテストステロンが減少すると、テストステロンをジヒドロテストステロンに変換します。
つまり、5αリダクターゼが働かなければ、前立腺の肥大化が予防できます。
イソフラボンは前立腺肥大症の原因を3段階で予防する
実は、イソフラボンのエストロゲン様物質としての作用が、前立腺肥大症の予防に効果を発揮します。
イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンと分子構造が似ており、細胞内のエストロゲン受容体と結合すると、エストロゲンが結合した時と同じ反応が起こります。
イソフラボンは前立腺肥大の原因となる酵素(5αリグクターゼ)の働きを阻害する
イソフラボンは、ジヒドロテストステロンを作り出す5αリダクターゼの活性を阻害する作用が知られています。
その結果、ジヒドロテストステロンの生産量が減り、前立腺の肥大化が抑制されます。
エクオールはジヒドロテストステロンの受容体との結合を阻止する
人によっては、腸内細菌でイソフラボンをエクオールと呼ばれるエストロゲン様物質に変えられる人がいます。
エクオールはエストロゲン様物質としてイソフラボンより活性が強い成分で、ジヒドロテストステロンの前立腺への作用を阻害する効果があります。
イソフラボンをエクオールに変換できる腸内細菌を持っている人は、日本人の場合50%と言われています。
エクオールについて詳しくはこちら
→イソフラボンから生産されるエクオールとは
イソフラボンは受容体の発現を減らす
イソフラボンは、前立腺にある受容体の発現を減らす作用があります。
受容体が少ないと、ジヒドロテストステロンが前立腺に働きかける力も弱くなります。
その結果、前立腺の細胞分裂が抑制され、肥大化を阻止できます。